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山口大学医学部附属病院
山口大学医学部附属病院

院内の様々な情報を統合参照できる医療情報マネジメントシステムを構築

神戸低侵襲がん医療センター
神戸低侵襲がん医療センター

放射線治療・化学療法に特化した医療機関を支える横河のソリューション

旭川医科大学病院様の事例

HISとの連携強化を図り、フィルムレス運用をスムーズに実現

即日の画像検査・診断を目標とした環境の構築

外観

旭川医科大学病院(602床)は、全国42の国立大学病院の中で日本最北端に位置し、道北・道東の拠点病院として高度かつ先進的な医療サービスを提供している。
外来患者数は年間約36万人(1日平均1,526人)、入院患者数は同約18万2,000人を数える。放射線部門関連では、X線撮影等は年間延べ12万人を超え、放射線治療においても年間延べ1万1,000人の治療実績を誇っている。

それらの実績を支えているのが放射線部および診療技術部である。2003年10月、国立大学医・歯学部附属病院の統合による組織改革において最初に7大学病院で診療支援(技術)部が誕生し、現在は17の大学病院に設置されている。 旭川医科大学病院の診療技術部は、2008年に放射線技術部門、臨床検査・輸血技術部門、病理技術部門、理学療法技術部門、臨床工学技術部門の5部門から構成される医療技術職員を一元的に組織し、病院運営と診療支援、患者サービスの向上に寄与することを目的に活動している。診療技術部を率いる西部茂美部長は、同院の放射線部門の目指してきた環境を次のように述べる。

西部氏

「画像診断においては、CT、MRI、PET検査を含め、検査・診断が即日で完結する体制と外来診療システムを目指してきました。患者さんの待機日数が1日というのは、国立大学病院では唯一と自負しています。また、放射線治療に関しては、高度先進医療、先進医療の認定を受けるために、体幹部定位放射線治療(SBRT)、強度変調放射線治療(IMRT)などを国内でいち早く導入し、軌道に乗せました。それらの実現のために放射線部では、使い勝手のいいITによる業務支援システムの整備にじっくり時間をかけてきました」(西部氏)。

2002年にCT、MRI画像等の電子保管を開始し、2004年に放射線部門業務システム(RIS)、画像所見レポーティングシステムを導入、モニタ診断を行ってきた。2009年1月にはフィルムレス運用に向けて、医用画像管理システム(PACS)とRISを更新するとともに、新たに放射線治療部門情報システム(治療RIS)を追加導入し、病院情報システム(HIS)でのモニタによる院内への画像配信を開始した。翌年10月にはHISとの患者ID、AccessionNo.連携を実現し、モニタによる画像参照環境が整備され、2012年3月に完全フィルムレス運用に移行した。

完全フィルムレス運用を見据えたシステム環境の構築

旭川医科大学病院における放射線部門システムの特徴の1つは、完全なフィルムレス運用を前提としてHISおよび各モダリティとRIS間でMWM(Modality Worklist Management)による連携を実現している点である。特にHISとの連携においては、HISの放射線オーダ情報とアクセッション番号を紐付けた画像管理がなされており、オーダ単位による画像呼出連携ができるなど、オーダ情報、検査画像、読影所見がそれぞれ1対1で対応する環境を実現している。

「各診療科の現場からは、オーダ単位で画像を参照したいというニーズが非常に高い。患者IDに基づいた連携では画像確認に取りこぼしがあったり、参照したい検査画像をすぐに呼び出せないなどの問題が生じるため、フィルムレスへの移行を見据えて当初から必須要件として挙げていました」(西部氏)という。

また、読影所見についても、画像参照した後に再びHISで操作して当該レポートを呼出すのではなく、オーダ情報を起点として検査画像からレポート参照、あるいはレポートから検査画像の参照ができる仕組みを実現した。こうした連携機能は読影部門においても業務上の大きなメリットがある。

高橋氏

放射線部部長 高橋康二氏は、「読影用画像ビューアと所見レポート作成システムが連携していることに加え、オーダ単位で検査画像とレポートを相互に呼び出せるので、過去画像や過去のレポートとの比較作業も容易になりました。現在、1日に約150件のレポートを作成していますが、臨床サイドは必ず読影所見があることを前提に参照しているので、各診療科のドクターにとっ ても相互参照が可能になったことで業務効率が図られたと思います」と述べる。 なお、以前の読影所見はレポート作成システムからXML形式でHISに送られていたが、現在は所見レポート作成システムのフォーマットで直接配信され、読影側の意図した内容で閲覧できるようになっている。

オーダ情報とアクセッション番号を対応させた連携を実現する上で問題になったのが、古い核医学検査装置がMWM連携に対応していなかったことだ。そのため、モダリティから画像データを受け取った検像システムでアクセッション番号を付加する仕組みを構築して対応した。これにより、すべての検査画像とオーダ情報が紐付けられ、一部の例外もなくオーダ単位の画像呼び出しが可能となった。

西部氏

この検像システムは、いち早く検像サーバを導入して検像データの一元化を実現したことも特徴の1つである。「従来、検像システム構築の課題は、モダリティが導入されるたびに検像端末が増えていくことで、それだけ導入・運用コストが増大していく。
1台の検像サーバに統合するシステム環境は以前から考えていたもので、統合サーバ化による費用対効果は非常に大きい。
検像作業においても、モダリティからのデータ受信・PACSへのデータ送信が輻輳すると従来の端末型システムではパフォーマンスが劣化したり、画像を転送できないといったトラブルもありましたが、サーバ化したことによりレスポンス低下による作業ストレスもなく、トラブルも減少しました」(西部氏)と検像サーバ導入の効果を分析する。また、検像システムのサーバ化によって検査画像のすべてが一旦サーバのストレージに蓄積されるので、万一のシステムトラブル時に、バックアップサーバとして活用できる環境にもなっている。

放射線部門システムの導入後、HIS連携から完全フィルムレスの運用に至るまでには期間があったこともあり、フィルムレスに移行した際の運用上の課題や問題点に対するさまざまな対応をスムーズに実現できた。その1つが手術室におけるフィルムレス化による障害時の対応だ。手術中にネットワークやPACSに障害が生じたときに備え、手術室の画像参照用端末をスタンドアロン方式で運用できる仕組みとした。通常、画像参照用端末は画像データをローカルディスクにダウンロードせずメモリ展開で高速化、ネットワークトラフィックの削減を実現しているが、手術室用端末は緊急時に直接モダリティから画像データを取得・ローカルディスクにダウンロードして参照できるように構築し、万一のネットワーク障害時においてもモニタによる画像参照を継続できる仕組で、画像参照のバックアップとして機能するものだ。

この他にも、4月からはフラットパネル方式の全X線装置、同X線-TV装置、デジタルマンモグラフィ装置が稼動し、デジタル環境が整備され、RISとの連携においてMWMはもちろんのことMPPSによる実施情報の取得も実現している。また、当初から読影室にはサブピクセルを活用した15MPのマンモグラフィ用読影支援端末が導入されており、デジタルマンモグラフィの稼動に対応できるよう備えてきた。

遠隔画像診断も院内の読影と同一環境で実施

読影室

旭川医科大学病院といえば、日本国内でも遠隔画像診断にいち早く取り組んできたことが知られている。眼科学教室が1994年に、道内の中核病院とISDN回線で画像・音声双方向伝送の画像診断を試みたのを始まりに、1999年には国内初の遠隔医療センターを開設、翌年には各診療科で遠隔医療が開始され、遠隔画像診断に加え、遠隔病理診断、さらには在宅医療への利用や海外医療機関との連携も試みられている。

かつては画像診断の依頼があると遠隔医療センターに放射線科専門医が出向いて読影していたが、約5年前に放射線科読影室の画像端末で読影できる環境に移行した。画像診断依頼があると読影室のパトライトが点灯し、依頼があったことを知らせ、即座にその日の遠隔画像診断担当者が読影室で作業できるようになった。

高橋氏

「わざわざ遠隔医療センターに足を運ぶ煩わしさがなくなり、他の読影医ともディスカッションしながら読影できる環境になりました。そのため、依頼に対する迅速な対応と質の高い画像所見の提案が可能となっています。『至急読影』の要件がついた依頼に対しては、およそ1時間程度で所見を提供しており、依頼先病院からは自院に常勤の画像診断医がいるようだと好評を得ています」(高橋氏)。

現在、道内14医療施設と遠隔診断のネットワークを結び、年間約3,000件の画像診断依頼に応えているというが、夜間を除いて依頼当日に読影所見の提供を2時間以内に行っている。現在読影レポートはPDF形式にて依頼病院に返信しているが、今後はXML形式にて返信し、依頼病院側のシステムに読影所見を取込むことのできるサービスも計画されている。院内の画像診断も即日対応を実現し、外来患者の検査結果のための再来をなくすことができるようになった。こうした業務環境を実現できた背景の1つに、高橋氏は「RIS、所見レポート作成システム、画像参照システムの円滑な連携が挙げられます。放射線部門システムを同一メーカーが全体を担当することで、運用後のさまざまな問題解決、対応処理が円滑にサポートされていることが大きいといえます」と語っている。
今後院内の読影環境においても学生用読影環境の整備をはじめ、教育機関としての役割を果たせるシステムの構築を計画中だ。

診療業務の環境向上に向けたさらなるシステム構築の推進

一方、治療RISは、2台の直線加速装置をはじめ、治療計画装置、治療計画用CTシミュレータ、およびHISと連携され、それぞれに分散されている治療データや画像情報を取得・一元管理されている。それによって統合データベース化された放射線治療情報は、部門内の情報共有や統計・集計などに活用されている。治療RISの情報管理では、患者情報にいろいろな情報が付加されていく。原発部位情報や、治療方針・プラン、治療スケジュールや、照射実施情報など多くの情報の管理が要求される。旭川医科大学病院が横河医療ソリューションズの放射線部門システムを導入・更新してきた背景には、この治療RISの進化が大きな要因となっている。

「治療RIS導入から遡ること5年ほど前から治療RISのあるべき機能を考えていました。横河電機(当時)の初期の治療RISは、使用者側が要求する十分な機能を備えていなかったため、その考えを当時の横河電機の担当者に話していました。その要求を真摯に受け止め、戦略的に治療RISの開発を進め、放射線治療を実施する主要な病院で徐々に採用される実績を積んできたことを高く評価しています」(西部氏)と治療RIS採用の経緯を振り返る。

今後は、治療計画装置で立てたPLAN情報、DOSE情報などをDICOM-RTプロトコルで取得し、治療RISで展開できる仕組みを実装していく予定だ。こうした情報を治療RISで管理できれば、治療計画装置等が異なる機種にリプレースされてもきちんと必要な情報を引き継ぐことができるため、治療財産となる情報(インテリジェンス)を活かせるからだ。また、HIS側の制約でまだ実現できていない治療RISで管理する照射スケジュールをHIS側に返すなど、治療RISとHISの相互運用の可能性を向上させていきたいという。

西部氏は最後に、「高度な画像診断と放射線治療を実施していく上で、放射線部としては患者様最優先を念頭におき、迅速かつ正確に業務を遂行できる環境を構築していくことが重要であり、各スタッフが働きやすく、モチベーションを高く維持して働ける環境づくりをシステム環境整備も含め実現していきたいと考えています」と結んだ。

高橋氏
放射線部部長(医学博士・准教授)高橋康二氏
西部氏
診療技術部部長(医学博士・医学物理士)西部茂美氏