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山口大学医学部附属病院
山口大学医学部附属病院

院内の様々な情報を統合参照できる医療情報マネジメントシステムを構築

神戸低侵襲がん医療センター
神戸低侵襲がん医療センター

放射線治療・化学療法に特化した医療機関を支える横河のソリューション

神戸低侵襲がん医療センター様の事例

放射線治療・化学療法に特化した医療機関を支える横河のソリューション

「小さく見つけてやさしく治す」をコンセプトに低侵襲治療に特化

外観

2013年4月にオープンした神戸低侵襲がん医療センターは、その名が示す通り身体への負担が少ないがん治療の拠点である。放射線と化学療法、IVR(Interventional Radiology)に特化した最先端がん治療を施す医療機関として、「小さく見つけてやさしく治す」をスローガンに掲げている。 同センター開設の経緯を理事長・病院長に就任した神戸大学客員教授の藤井正彦氏は、次のように述べる。

「神戸大学医学部附属病院は、病院敷地等の問題でがん治療の機能強化が困難という長年の課題を抱えていました。そこに神戸医療産業都市(メディカルクラスター)構想が持ち上がり、神戸大学として参画の要請に対して積極的に参加しようということが発端です。同構想は産学連携による高度医療技術の国際的な研究開発拠点の整備に向けた構想であり、国立大学病院の分院として開設することには問題があり、新たに医療法人社団を設立し、特別目的会社が出資金を調達して開設にこぎ着けたものです」。

藤井正彦氏
理事長・病院長 藤井正彦氏

「小さく見つけて、やさしく治す」ことをコンセプトとしたのは、高齢のがん患者の増加、長寿が進行する中で再発がん患者も増えつつあることから、外科的手術によるがん治療が大きな負担になる点があるからだ。「大きな侵襲を伴う外科的手術は、がんを取り除くことはできても、予後のQOL(生活の質)が大きく低下するリスクを伴います。 がん治療の3本柱に対して総合病院ではどうしても専門分野を横断的に対応することが難しいが、放射線治療と化学療法に特化して高齢化するがん患者さんに対応した治療に専念する拠点が必要という考えがあります」(藤井氏)と指摘する。

神戸大学医学部附属病院が外科的手術によるがん治療の先進性を追求する一方で、同センターが特に放射線治療に特化した治療に専念できる背景には、隣接する神戸市立医療センター中央市民病院との医療連携が可能だという点もある。高齢のがん患者はさまざまな疾病を併発することが多い。同センターの入院患者が心筋梗塞や脳梗塞などを発症したときに、三次救急を担う中央市民病院が必ず受け入れる体制が出来上がっている。それゆえ他の診療科や手術室を持たずに治療できる環境がある。中央市民病院にとっても高額な最新放射線治療機器をそろえずとも、連携したがん治療が行える。まさにメディカルクラスターの優位性を発揮する医療環境によるところが大きい。

国内初稼動のトゥルービームをはじめ最新鋭治療装置を導入

低侵襲がん治療に特化したコンセプトを掲げる医療機関は国内初といえるが、最新鋭の放射線治療装置であるサイバーナイフシステムG4(Accuray社製)、トモセラピーシステム(Accuray社製)、トゥルービームシステム(Varian社製)の組み合わせで3台そろえている施設は国内では他にない。

サイバーナイフG4
サイバーナイフG4
トモセラピーHD
トモセラピーHD
トゥルービーム
トゥルービーム

トモセラピーこそ国内で30台以上導入されているが、第4世代のサイバーナイフは10台ほど、トゥルービームに至っては国内で初めて稼動したものである。このトゥルービームの特徴は、強度変調放射線治療(IMRT)と呼吸同期機能や画像による位置確認機能などによる呼吸同期照射が可能である点。コンピュータを利用した腫瘍だけに放射線を集中させる高度な照射方法で、装置を回転させながらIMRTを行うという新技術も導入している。 「これら3台の最新の治療装置は、放射線治療を専門とする医療者にとって、現在最も扱ってみたいと考える装置。頭頸部から脊椎、体幹部など全身ほぼすべての部位のがん、さまざまな腫瘍に対応できる環境を整えています」(藤井氏)という。

操作室
操作室
治療計画室"
治療計画室

現在、これらの放射線治療装置で治療を受けている患者は、1日約60人強。1日の最大治療可能人数は、サイバーナイフが約10人、トモセラピーが約30人、トゥルービームが約40人という。こうした患者数と精度の高い治療を可能とするのは、放射線治療専門医をはじめ、医学物理士、治療にも精通する放射線技師など十分な人材体制があるからだ。「近年、民間総合病院でも最新の放射線治療装置が導入されるようになったが、非常勤医師に頼る施設もあります。放射線治療にかかわる人材不足が、欧米に比べて放射線治療普及の妨げになっていることも一因。当センターでは神戸大学医学部から人材供給を受けて体制を整えるとともに、人材育成の環境もつくっています」(藤井氏)。

マルチベンダー対応で診断と治療のシームレスな情報管理

神戸低侵襲がん医療センターでは、前述の治療装置に加え、CTをはじめとする各種のX線撮影装置、MRI、PET-CTなど数々の画像診断装置を導入している。多くの病院の放射線部門は、一般的に診断部門と治療部門に分かれているが、同センターは診断部門が治療に関与する部分が非常に多いのが特徴。CTやMRI、PET-CT装置すべてにレーザーマーカーシステムを設置し、すべての画像を放射線治療計画に用いることを可能にしている。この例に見られるように、画像診断装置と放射線治療装置、さらには基幹病院情報システムなどとのシームレスな情報連携が可能な放射線情報管理システム群が求められた。

藤井氏

導入された放射線情報管理システムは、「ShadeQuest」(以下SQ)シリーズのSQ/RIS(放射線部門業務システム)、SQ/TheraRIS(放射線治療部門情報システム)、SQ/Serv(画像情報統合サーバ)、SQ/Report(レポート作成システム)、SQ/ViewR(画像ビューア)、SQ/ViewRT(放射線治療部門 画像ビューア)など、すべて横河医療ソリューションズのシステムで構成されている。これらのシステムを採用した理由を藤井氏は次のように述べる。

「1つは、当センターが神戸大学医学部の全面的なバックアップを受けており、また兵庫県立がんセンターや兵庫県立粒子線医療センターと連携していくことを踏まえ、治療RISは共通のプラットフォームであるべきと考えました。これらの施設では横河医療ソリューションズのシステムが稼働しており、それを受けて同社の治療RISを第一候補として挙げました」(藤井氏)。
神戸大学医学部附属病院ではPACSやRISなども横河医療ソリューションズのシステムを運用し、同大学が立ち上げにかかわった神戸画像診断支援センターのシステムも同様で、信頼性も評価していたという。

岡山貴宣氏
医療技術部長 岡山貴宣氏

医療技術部長の岡山貴宣氏も同様の評価を述べる。 「2000年頃、治療システムの更新に合わせてYOKOGAWAと共に構築した治療RIS「YSYS」が神戸大学病院に初めて導入されました。その後YOKOGAWAの治療RISは、全国の医療機関に展開される過程で機能がさらに充実し、洗練されてきたと感じていました。もちろん、各社治療装置とのオンライン接続の実績、ノウハウも蓄積されてきた経緯もあるので、間違いない採用だと確信していました」(岡山氏)。

藤井氏はもう1つの視点として、高精度の放射線治療を安全に実施していく上で、治療RISと診断RISが有機的に連携する必要性とその期待感から選定した点も指摘する。「特にIMRTなどでは、長期的に見て腫瘍周囲の低線量被曝領域に有害事象が発生するか否かなど検証していくことが重要です。その際に診断側システムからも治療の線量分布や治療計画などが参照できる環境が求められます。また、検証結果を治療にフィードバックして精度と安全性を高めていくには、治療RISと診断RISの垣根ができるだけないことが望ましいと考えます。そうした要望に応えてくれるという期待が、横河医療ソリューションズにありました」(藤井氏)と強調した。

岡山氏

各システム連携のポイントは、まず治療RISが各社の放射線治療装置、治療計画装置とのマルチモダリティ連携による接続を実現。同様に診断RISが放射線治療計画用モダリティ(CT、MRI、PET-CT)とMWM接続で患者情報を連携し、診断画像は画像サーバに保管される。また、病院情報システムとは、患者情報・放射線治療オーダ、会計情報や治療実施情報などが治療・診断RISとシームレスに連携されている。そして、治療RIS端末で治療情報はもとより、診断RISの情報、治療計画装置の情報が一元的に参照できる環境を実現している。 「導入した電子カルテシステムが、放射線治療オーダ機能が不十分であったために 接続で苦労したところもありましたが、国内初のトゥルービームをはじめ、治療装置や計画装置との連携は当然の如く実現できています。システム連携では運用後にさまざまな問題が出てくるのが一般的ですが、特にトラブルや不都合もなくスムーズに稼動しています」(岡山氏)と、これまで多くの医療機関で治療情報システムを導入・構築してきた横河医療ソリューションズのノウハウと現場対応力の高さに信頼を抱き、評価している。

放射線治療部門システムにおける各システムの連携は、DICOM規格以外ほとんどが各治療装置、治療計画装置との連携においてそれぞれ独自の通信方式を用いている。電子カルテシステムも含めて医療機関によって1つとして同じ仕組みが適用できるケースはなく、各施設の状況に応じた治療情報システムの構築が求められる。岡山氏は、これまで多くの医療機関で治療情報システムを導入・構築してきた横河医療ソリューションズのノウハウと現場対応力の高さに信頼を抱き、評価している。

メディカルクラスターを活かした連携医療を強化

岡山氏

病院情報システム、放射線情報管理システムの連携による情報一元化で、放射線部門の診断および治療業務の効率化と治療精度の向上が実現されつつある。そうした中で岡山氏はシステム的な課題として、どこでも、どのようなシーンでも治療カルテを閲覧できる環境の必要性を挙げる。治療カルテのペーパーレス化は業務効率上の優位性があるが、一覧性に優れた紙の長所も捨てがたいものがあるからだ。「治療業務で患者さんと密に接するわれわれにとって、放射線治療の進捗状況や患者さんの疑問・要望にその場で答えていく必要があります。紙の治療カルテがなくなった今、説明のための根拠として治療データを閲覧するとき、治療RIS端末まで足を運んで確認しなければなりません。治療室などで患者さんのニーズに応えていくために、タブレット端末など携行性に優れた閲覧ツールが必要。治療RIS端末の画面をそのままタブレット端末に表示する形態では不十分で、モバイルに特化した閲覧機能が求められます」(岡山氏)と要望する。

さらに今後の展望として指摘するのは、放射線治療・化学療法に特化した機能を活かしていくために、他の基幹病院との連携医療強化に伴う診療情報連携の重要性である。関連医療機関と同じ放射線部門システムを導入した背景は、情報の共有化をスムーズにすることと、人的な交流においても同じプラットフォームの方が効率的と考えたからだ。

藤井氏
「こうした環境を有効に活かすためにはオンラインでの情報共有が望まれます。さらに将来的には、クラウド化した放射線部門システムを関連施設で共用化していくような環境に発展させたいというニーズもあります。そうした基盤により、患者さん中心の医療をメディカルクラスターとして提供できるようにしたい」(藤井氏)と展望した。

中庭