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山口大学医学部附属病院
山口大学医学部附属病院

院内の様々な情報を統合参照できる医療情報マネジメントシステムを構築

神戸低侵襲がん医療センター
神戸低侵襲がん医療センター

放射線治療・化学療法に特化した医療機関を支える横河のソリューション

山口大学医学部附属病院様の事例

医用画像の統合環境に続き、医療情報統合管理システムを構築

院内すべての画像データをDICOM規格に統一

山口大学医学部附属病院(736床)は、26診療科と23の診療部を持ち、さまざまな分野の疾患を総合的に診療できる山口県内で唯一の特定機能病院である。1日平均入院患者数は約650人、同外来患者数は約1300人に上る県内随一の基幹病院だ。

外観

2000年に開設された高度救命救急センターは国立大学病院で最も早く設置された歴史を持ち、宇部市と提携したドクターカーの運行や山口県のドクターヘリの基地病院として救急医療体制をより強化、県内・隣県の三次救急病院として重要な役割を担っている。また、近年に設置された放射線治療科では最先端の放射線治療機器を導入し、第三のがん治療にも注力している。

同病院の放射線部では、2009年9月の電子カルテ導入に合わせて、PACS等の放射線部門システムを更新し、1200台を超える電子カルテ端末に対してフィルムレス運用を開始した。また、翌年4月からは歯科撮影領域もフィルムレスに移行し、電子カルテから画像参照ができる機能を追加して運用している。

同病院におけるフィルムレスの大きな特徴は、放射線検査画像に加えて、超音波画像、内視鏡画像、心電図、自科検査画像などをすべてDICOM規格に統一し、統合医用画像サーバ(57TB)に保存している点だ。

「放射線機器の画像フォーマットはDICOM規格を標準としていますが、内視鏡検査装置や超音波検査機器、心電図などはJPEGやBMP画像、波形データなどフォーマットはさまざま。それぞれ個別に管理・配信する方法が一般的ですが、ユーザー側はデータ形式にかかわらず容易に参照できる環境を求めていますし、管理も各部門で行うなど非効率的です。そこで、すべての画像をDICOMに統一して、大容量の統合医用画像サーバ(PACS)で一元管理することにしました」。放射線部副診療放射線技師長の岩永秀幸氏は、画像フォーマット統一の経緯をこう説明する。

岩永氏
放射線部 副診療放射線技師長 岩永秀幸氏

統合医用画像サーバには、ShadeQuest/ServをはじめとしたPACSを導入。JPEGを画像形式とする内視鏡検査装置や旧モデルの超音波検査装置の画像は、DICOM変換ゲートウェイを介してPACSに統合されている。画像データ統合化のメリットを岩永氏は、画像参照ビューアをShadeQuest/ViewCに統一できたことと、患者紹介の際のCD媒体による他院への画像提供が容易になったことを挙げる。

「1種類のDICOMビューアですべての画像が参照可能になったことにより、ユーザーである医師をはじめとする医療スタッフは1つのビューア操作を覚えることで、ほとんどの画像参照を簡単に行うことができます。また、他院へ画像を提供する際に、IHE-PDIに準拠したディスク作成が可能になったこと、受け取った施設もPDIビューアですべて参照できるも点も画像形式統一化の副産物です」(岩永氏)。

部門の壁を越えて統合画像プラットフォームを構築

岩永氏

院内画像形式を統一したことは一方で、放射線画像以外の他部門で発生した医用画像をすべて放射線部で管理しなければならないという課題も生じた。「発端は医療情報部門から統合管理してほしいという要望からでしたが、放射線部が管理すべきという診療放射線技師長の考えもあり、最終的な目的として病院に貢献できるなら部門間の業務の壁を越えて引き受けるという結論に至りました」と岩永氏。フィルムレス実現という病院全体の目標に向けて、組織の壁を越えた共通意識を持って推進したことが、成果につながったと強調した。

単にDICOMに統一しただけでなく、放射線部門以外の検査画像データをすべて受信・統合管理し、電子カルテ端末側のリクエストにより配信できる仕組みも必要になった。それが横河医療ソリューションズと作り上げた、検像システムにRIS機能を付加した「検像RIS」と呼ぶ仕組みであり、統合医用画像管理における大きな特徴でもある。

「検像RIS」の役割の1つは、臨床部門の医師が電子カルテから画像参照する際、検査オーダと検査画像は1対1で呼び出せるようにすること。電子カルテのオーダ番号(ユニークな番号)を取得し、患者ID情報などともにDICOMタグに埋め込むことによって、1つの検査オーダから該当画像を表示できるようにした。DICOM出力が可能であり、MWM機能を持たない放射線機器に対しては、この検像システムにMWM機能を実装することで患者ID情報とオーダ番号をDICOMタグに埋め込んでいる。同様に、内視鏡検査装置や超音波検査装置に対しても、DICOM変換ゲートウェイで変換された画像のDICOMタグにオーダ番号等を埋め込んで、検査オーダから該当画像を読み出せるようにした。自科検査などオーダ情報が発生しない検査画像においても、電子カルテの画像サーバを経由してDICOM形式で取り込んでおり、院内で発生する検査画像を中心とした医用静止画像のすべてを統合医用画像サーバで管理・配信する環境を運用してきた。

山口大学医学部附属病院が横河医療ソリューションズの製品群を最初に採用したのは、1999年9月の大型台風による高潮で病院全体が甚大な浸水被害を受けたことに伴うシステム再構築で、PACSおよびレポートシステムを導入にしたことに遡る。その後、RIS、検像システム、治療RIS導入と横河医療ソリューションズとの連携を深めてきた理由を岩永氏は次のように述べている。

「同社の製品・技術的な魅力の1つは、画像配信システム。臨床側で画像参照する際に、何千枚の画像であっても高速配信が可能であることです。そうした技術的な優位性に加え、熱心な提案と要求に対する対応を含むサポート力、ユーザーと協力した製品開発体制を評価しています。大学病院は研究・教育機関でもあり、新しい視点でイノベートしていく宿命があります。そうしたときにベンダーとの密な連携は不可欠であり、放射線部門におけるパートナーとして、その価値を認めているからです」(岩永氏)。

医療情報統合マネジメントシステムを放射線部門内で活用

放射線部門をはじめ、内視鏡や超音波検査部門、自科検査など院内の検査画像の統合管理を実現した山口大学医学部附属病院。次のステップとして求めたのが、分散管理している各部門の検査レポートやさまざまな診療情報をも統合参照できる医療情報統合マネジメント環境である。そのプラットフォームとして導入したのが、医療情報統合マネジメントシステム「ShadeQuest/Monolith」である。

「統合医用画像管理システムを構築・運用する中で、生理検査部門や病理部門のデータやドキュメントなど、患者さんへの診療行為によって発生する膨大な情報も取り込んだ統合的な環境を作るべきだろうという考えに至りました」と、岩永氏はMonolith導入の経緯を説明する。

岩永氏

診療の現場では、患者がいつ、どの診療科を受診し、どのような検査や治療を受けたのか、その経過情報など、あらゆる診療情報を俯瞰して参照できること。また、それらの情報を医療スタッフが共有することで、チーム医療を推進したいというニーズは以前からある。ところが、さまざまな診療情報は院内各所、各システムに分散され、横断的に検索・参照、あるいは分析できる環境にないのが実状。ShadeQuest/Monolithは、こうした課題に対して、院内に分散している部門システムからさまざまなデータ形式の情報を収集・データベース化して、Webコンテンツとして配信できるソリューションだ。統合診療情報ポータルとして分散システムの情報とリンケージするソリューションと異なる点は、データ活用を第一に考え、収集したデータを最適化して保存し、一元的に管理できるところにある。

広く情報を収集・蓄積・配信できるMonolithではあるが、山口大学医学部附属病院では、まず放射線部門内で統合診療情報を活用している。患者のあらゆる診療情報を俯瞰・共有できる環境に対するニーズは漠然とあるが、具体的にどのような活用ケースがあり、有用性がどうかを明確にすることが重要とされている。岩永氏は、放射線部門におけるデータの二次活用の1つとして、診療放射線技師の教育推進を支援できるだろうと指摘する。

「チーム医療推進の中で、診療放射線技師の診断補助はどうあるべきかを考えたとき、われわれも現場の情報を活かして自己学習できる環境を作るべきだろうと話し合っていました。その自己学習を支援するユニットとして、症例情報と画像データベースによる統合システム環境が有用ではないかと考え、Monolithを活用する上での1つのユースケースとしてとらえていました」(岩永氏)。

もちろん、放射線部門の日常業務においても、医療情報統合マネジメントシステムの有用性は大いにあるだろうと見る。例えば、画像診断の現場では、従来から患者の臨床情報を手作業であちこちから収集し、診断や治療方針のアドバイス等の材料としている。その際に分散している情報が医療情報統合マネジメントシステムに集約されていれば、収集・検索・参照という作業は効率化される。また、診療放射線技師の業務においても、関係省庁や行政からの各種アンケートに回答するための統計処理を行っており、そのツールとしての活用も考えられるという。

病院内全体での運用拡大を目指す

放射線部では現在、生理検査や病理部門の部門システムのデータを取り込むインタフェースを整備し、徐々に医療情報集約を進めながら、部門でのユースケースを作り上げている。2016年4月には電子カルテシステムの更新を控えており、それを機に他部門のデータ集約をさらに進めていく予定だ。「当然ながら、今後は医療情報統合マネジメントシステムの病院全体での運用を視野に入れて進めいていく計画です」(岩永氏)と話す。

岩永氏と上田氏
岩永氏(左)と診療放射線技師長 上田克彦氏

院内に分散していた医療情報が集約され、各医療スタッフが必要な情報を必要な時に参照できる環境が整備されれば、院内の業務フローの効率化や的確な情報を基にした診療の質の向上につながるだろうという期待がある。こうした期待もさることながら、岩永氏は「各診療科の医師が、臨床研究を効率的に行うためのデータベースとして活用できるでしょう。もう1つの成果として、あらゆる情報を俯瞰し、一部門に留まっていた情報を共有できるようになれば、医療安全やリスク管理としても有用性があるだろうと考えます」と述べる。

一方で、こうした成果を出していくためには、それぞれの医療スタッフに向けて的確な情報を適切な方法で提供できるユーザーインタフェースが必要だと岩永氏は指摘する。「それぞれの部門のスタッフによって、あるいは業務フローの中で必要とする情報は千差万別です。どのようなデータを、どう参照できるようにするか、現場のニーズを十分にキャッチアップしてコンテンツ内容、手段を作り上げていく必要があります」(岩永氏)と説く。そうした点を踏まえて、部門内でユースケースを作り、活用成果を提示するとともに、各部門との意見調整によりニーズを明らかにしながら構築を進めていく重要性を強調する。その過程において、岩永氏は横河への期待が大きいとも述べた。