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2012.6.14
ステークホルダーの特定とその期待のマネジメント

エンジニアリング業界では、契約に基づいてパッケージの改造を実施したものの、ユーザーの満足を得ることができず、再度の大きな改修をするといったケースをよく聞く。一人の声の大きなユーザーの要望に偏りすぎた改造を実施してしまい、さまざまなステークホルダーの関与度、影響度を見誤り、ユーザーの総合的な期待に応えられていないことが原因だ。

PMBOK GUIDEには、「プロジェクトマネジメントは、プロジェクトの要求事項を満足させるために、知識、スキル、ツールと技法をプロジェクト活動へ適用することである」とあり、具体的には「5つのプロジェクトマネジメント・プロセス群と9つの知識エリアに分類される42のプロジェクトマネジメント・プロセスを、プロジェクトに適切に適用し統合することによって、プロジェクトマネジメントは遂行される」と記載されている。

5つのプロセス群:
  • 立上げプロセス群
  • 計画プロセス群
  • 実行プロセス群
  • 監視・コントロールプロセス群
  • 終結プロセス群
9つの知識エリア:
  • プロジェクト統合マネジメント
  • プロジェクト・スコープ・マネジメント
  • プロジェクト・タイム・マネジメント
  • プロジェクト品質マネジメント
  • プロジェクト人的資源マネジメント
  • プロジェクト・コミュニケーション・マネジメント
  • プロジェクト・リスク・マネジメント
  • プロジェクト調達マネジメント

立上げプロセス群には、プロジェクト統合マネジメントに分類されるプロジェクト憲章作成プロセスと、プロジェクトコミュニケーション・マネジメントに分類されるステークホルダー特定のプロセスがある。

プロジェクト憲章とは耳慣れない言葉であるが、プロジェクトを公式に認可する文章で、初期の要求事項を文書化するものである。我々のビジネスでは、要求仕様書を伴うユーザーの発注行為がこれに当たる。プロジェクト憲章の発行により、プロジェクトは正式に立ち上がるのだ。

ステークホルダー特定とは、プロジェクトにより影響を受ける全ての人や組織を特定し、利害、関与度、影響度を文書化するプロセスである。システム構築を依頼した病院のシステム責任者、システム担当者、システムのユーザー、システムを接続する情報系ベンダー、医療機器ベンダー、共に働く協力会社のメンバーなど全てがステークホルダーである。

我々も古くからISO9001に触れ、製品やサービスの品質管理という観点でのマネジメントを実施してきたが、ステークホルダーの特定などの概念は薄かったと記憶している。実行プロセス群にあるステークホルダーの期待のマネジメントと合わせて、ステークホルダー特定のプロセスはPMBOKの特徴的なプロセスである。

冒頭でパッケージの再改修の話をしたが、医療IT業界においても同様のケースは発生する。システム担当者の要望に偏りすぎた改造を実施してしまい、医師、技師、物理士、クラーク、上位ベンダーの担当者、そして放射線科と各診療科、医療情報部等さまざまな立場のステークホルダーの関与度、影響度、期待するものを見誤ってしまうのである。

異なるユーザーにおいて、同じ要求仕様、同じ金額でシステムを請負ったとしても同じプロジェクト処理とはならない。なぜなら、ユーザーも他の関連ベンダーも強い意志や感情、そしてさまざまな権限をもった人々で、その人間=ステークホルダーによって、プロジェクトが構成されているからである。ゆえに、プロジェクトの立上げプロセスにおいてステークホルダーを正確に特定し、実行プロセスフェーズや監視・コントロールプロセスフェーズにおいて、そのアウトプット(=利害、関与度、影響度を文書化したもの)を利用して各ステークホルダーとコミュニケーションしていくことが、生きているプロジェクトをマネジメントしていく上で、重要な鍵となる。

もちろん優秀なSEと言われる人は、ステークホルダーの特定とその期待をマネジメントすることなど、無意識のうちに実施しているのだと思う。そうしたSEも、そうでないSEも、一定レベル以上のプロジェクト品質を保ち、ユーザー、プロジェクト関係者の満足を得るために、PMBOK GUIDEの良い要素を取り入れていく必要があると感じている。そして、それがシステム構築を私達に預けていただいたユーザーのためになると信じている。