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燃料電池の将来展望

山梨大学 
クリーンエネルギー研究センター長
教授
渡辺 政廣 様

1943年 5月7日生まれ
1968年3月 山梨大学大学院修士課程
(応用化学専攻) 修了
1976年9月 工学博士(東京大学)
1968年3月〜1989年5月
  山梨大学工学部 助手、講師、助教授
1989年6月 山梨大学工学部 教授
2001年4月 山梨大学クリーンエネルギー研究センター
教授 センター長
現在に至る


主な専門分野および研究テーマ
電気化学および触媒化学:
各種燃料電池の研究、電極触媒設計、改質ガス触媒設計

学会および社会における現在の活動
International Society of Electrochemistryのエネルギー部門:チェアマン(1999年〜)
学術雑誌「Fuel Cells-From Fundamentals to Systems」
Wiley-VCH:編集者(2000年〜)
電気化学会燃料電池研究会:1981年設立時の委員、現在主査
NEDO水素エネルギー審議委員会:委員(2001年〜)
燃料電池実用化戦略委員会(経済産業省):委員(1999年〜)

受賞
1992年4月:電気化学協会学術賞「燃料電池用高性能電極触媒およびその電極構造設計」
2001年5月:山梨科学アカデミー賞「燃料電池の基礎および応用研究」

山梨大学 燃料電池研究チーム
ホームページURL
http://www.clean.yamanashi.ac.jp/

山梨大学 クリーンエネルギー研究センター長
渡辺 教授に伺う

Question
日本で燃料電池開発の草分け的存在である渡辺先生が「燃料電池」の研究をはじめられたきっかけを教えてください。

出身は山梨大学で、恩師の本尾哲教授(故人)のもとで電気化学を専門に研究しました。
1960年代終わり頃、職員になり、自分自身が何の研究テーマをやろうかと模索しているときに参加した学会講演で、「1980年代にはメタノールを使って電気自動車が走りまわるような時代になる」ことを聞き、非常に魅力を感じました。その当時の文献によると、白金触媒の研究はあるものの、メタノールを燃料として電気自動車を動かすには、まだあらゆる点において十分でないことが明白でした。また、電極触媒を専門とする研究室がまだ世界中で1つか2つしかないと書かれており、新たに研究する領域が非常にあると感じ、恩師に電極触媒の研究をやりたいと申し出ました。
燃料電池で自動車が動くことに興味を持ったことと、電極触媒について研究すべきテーマが多いことが「燃料電池」の研究をはじめたきっかけです。

Question
「クリーンエネルギー研究センター」が発足した背景や今までの 研究成果について教えてください。

1960年代の終わりから、燃料電池の触媒の研究を始めました。
まず、私たちは「触媒は新しい組成を組み合わせることで、貴金属単独よりも優れた特性が得られる」と考えました。恩師の本尾教授が作っておいてくれた下地の技術を利用して、種々の新しい合金が簡単に作れるようになり、いろいろな触媒の反応を調べることができました。
仮説を立ててそれを実証していくたびにそのとおりのことが起きました。合金の状態で、単味の貴金属に比べて10倍、20倍という性能がでることがわかり、「元素がそれぞれの役割を機能分担していればいいのだから、中まで合金でなくても表面に違う元素が隣り合わせになっていればいいのではないか」と考えるようになりました。このようにして、1978年に「アドアトムの触媒作用※1」を見つけたことで、我々のグループは世界に注目される多くの論文を発表できました。
最初の10年間で燃料電池の触媒としての研究成果が上がり、文部省から我が国唯一の「燃料電池実験施設」を作ってもらいました。
次の10年間は設計してきた触媒を実用レベルにする研究を展開し、またアルカリ水溶液型、リン酸型、溶融炭酸塩型などいろいろな種類の燃料電池について研究しました。
1990年当時、国の政策として、エネルギーの次は情報産業やバイオ産業だといわれており、また、海外の新聞には燃料電池が実用化されているような記事が多く掲載されました。それに呼応して、「燃料電池は実用化段階に入ったので、大学の役割は終わり」という気運が高まっていました。しかし、”それは違う”と主張して、さらに次の10年間は学内特別施設として「電気化学エネルギー変換研究室」という名前で予算、建物、メンバーを残してもらいました。その10年間は中温作動の固体酸化物型燃料電池という新しい概念を提案し研究すると同時に、固体高分子型の燃料電池についてもいち早く着手し、成果を上げました。
燃料電池というのは単に触媒1つだけではなく、化学、物理、機械、電気などさまざまな分野が融合した産物なので、これからは、「燃料電池工学の確立」と「基礎研究成果を企業化、実用化へ結びつけること」が必要だと考えました。ちょうど、仲間の平岡賢三教授(山梨大学)が、低温トンネル化学反応をうまく利用すると、低コストで大面積の太陽電池を製造できる可能性を提言し始めたこともあり、単に燃料電池だけではなく、自然エネルギーを使った半永久的なエネルギーの研究を目的として2001年「クリーンエネルギー研究センター」を設立しました。

※1 アドアトムの説明があるWeb-page
http://www.ab11.yamanashi.ac.jp/~mwatanab/adatom-jp.html



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