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ホーム > 技術情報 > 各種産業と計測技術 > 地球に優しい新エネルギー 太陽電池への期待

Question
太陽電池開発のきっかけを教えてください。

太陽電池の研究開発推移 歴史を遡りますが、1972年、当時の三洋電機中央研究所の山野所長から桑野研究所員(現三洋電機社長)に「これからはエネルギーの時代。」と告げた一言が日本にアモルファスシリコン太陽電池を誕生させるきっかけとなりました。
 桑野さんは、研究面ではアモルファス状態の窒化シリコンフィルムの開発に成功するなど、いくつかの成果をあげていましたが、電化製品などへの応用面では充分な成果を得られず研究からの撤退を打ち明けた時に言われたのがこの一言でした。当時、太陽電池にアモルファスシリコンを使おうなどとは、誰も考えていませんでしたが、ある日、桑野さんがダンディ大学教授のスピア氏による「グロー放電でアモルファスのp層とn層を形成できる」という論文を目にし、アモルファス太陽電池を作れると確信したのです。
 1975年にアモルファスシリコン太陽電池の開発に着手し、1978年には日本の民間企業としては初めて変換効率2%のアモルファスシリコン太陽電池の開発に成功しました。しかし、太陽電池の性能は十分ではなく高価で家庭用の電力に使うことなどまだ夢でした。そこで身近なもので何とか太陽電池を使うことができないかと考え、一枚の基板から任意の電圧が取り出せる「集積型アモルファスシリコン太陽電池」を開発したことが実用化への大きな弾みとなり、1980年に世界初の実用化製品「太陽電池電卓」を生み出しました。
 その後、1992年には桑野さんの自宅に日本で初めて電気が余れば電力会社に電気を売る、いわゆる「逆潮流あり太陽光発電住宅」を誕生させ、1994年の住宅用太陽光発電モニター事業制度をスタートさせるきっかけとなりました。
Question
太陽電池の種類や特長など教えてください。

 太陽電池の特長は、直接電気エネルギーが取り出せ、発電効率も規模の大小によって変わりません。曇りの日のような拡散光でも発電し、可動部を持たないため、基本的に寿命が半永久的です。
 太陽電池の種類は、発電部に用いる半導体材料の種類によってシリコン系と化合物半導体系に大別されます。現在、主として用いられている太陽電池はシリコン系太陽電池です。シリコン系太陽電池には結晶系とアモルファス系があり、結晶系には、単結晶系と多結晶系があります。
太陽電池の変換効率 単結晶系は、最初に開発が進んだ太陽電池で変換効率も小面積では20%以上と高いですが、製造工程が複雑でコストが高いという欠点があります。多結晶系は、単結晶に比べ変換効率は多少劣るものの、製造工程の改善でコスト低減が可能です。アモルファス系は、製造工程が簡単で、使用材料も少なく大面積化が容易なので、将来、低コスト太陽電池として大きく普及するものと期待されています。
 これらの太陽電池の変換効率は、各国の研究開発で性能は急速に向上しており、小面積では単結晶系で23%、多結晶系で18%、アモルファス系では13%、実用的なモジュール変換効率は、単結晶系で12〜16%、多結晶系で10〜14%、アモルファス系で6〜9%までになっています。
太陽電池の原理
Question
世界最高の変換効率を達成した「HIT太陽電池」。
変換効率を上げることは技術的に大変なことだと思います。今後の技術的課題を教えてください。


藤田様 アモルファス系シリコンは、生産コストが安く薄膜化できるメリットがある反面、変換効率が6〜9%なので電卓などの民生機器用の電源としての用途は広いけれども電力発電用には不向きでした。一方、結晶系シリコンは、変換効率こそ13〜16%あるものの製造コストが高く、薄膜化できないなどの難点がありました。そこで、長年にわたって培ってきたアモルファス太陽電池の技術をベースに、結晶系シリコンをアモルファスシリコンが挟み込むような形で陽極と陰極を積層する技術を開発し、両方の長所を最大限に生かしたハイブリッド型の「HIT太陽電池」が誕生したのです。
 HIT太陽電池は、2001年6月には研究所レベルでセル変換効率が世界最高の21.0%を達成(当時)、1997年には電力用として住宅用や業務用物件を中心に「HITパワー21」として市場投入し、2003年3月、量産レベルでのセル変換効率が世界最高の19.5%(103.5mm角)を達成しました(当時)。
HIT太陽電池セルの構造 変換効率を1%上げることは並大抵のことではなく、本当に大変なことです。研究所レベルで達成した変換効率を、安定して作れる量産レベルで実現するためには、シリコン材料の高品質化も重要ですが、太陽電池のセルのラインは非常に複雑なため、セル形成の最適化や製造装置の最適化などの技術的課題もあります。
 HIT太陽電池は、ここ3年間、変換効率を向上させていますが、アモルファスで培った技術と結晶系技術の融合により、短期間に変換効率を向上させることができていると思います。HIT太陽電池は、まだ開発の歴史が浅いため、さらなる性能改善やコスト改善が大きく期待できる太陽電池です。


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