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数MHz以上のアナログ信号をディジタル信号に変換するために

高速A-D変換のしくみとIC活用術(後篇)

心臓部「サンプル&ホールド回路」と変換精度

サンプル&ホールド回路を構成する回路と要求される特性

図2に、実際のサンプル&ホールド回路の入出力波形を示します。用語の意味はミニ用語解説を参照してください。

サンプル・ホールド回路特有の特性

■入力バッファ
負荷となるホールド・キャパシタが、サンプリング・スイッチによってダイナミックに切り替わります。特にOFFからONへ切り替わるときの電流駆動能力と高速にセトリングさせるための広帯域特性、および負荷変動に対する安定性が求められます。

■サンプリング・スイッチ
サンプル・モード時のON抵抗が低く、ホールド・モード時のリーク電流が小さくなければなりません。 前者は、帯域幅やアクイジション時間に影響し、後者はドループに影響します。
スイッチング時間も重要です。ONからOFFのスイッチング時間は、アパーチャ・ディレイやホールド・セトリング時間に、OFFからONのスイッチング時間はアクイジション時間に、それぞれ加算されます。

■ホールド・キャパシタ
電圧依存性、直列抵抗、リーク電流などを確認する必要があります。 電圧依存性が大きいと、ゲイン誤差やリニアリティ・エラーが悪化します。
直列抵抗は、帯域幅・アクイジション時間・ホールド・セトリング時間に影響し、リーク電流はドループの原因になります。 ただし、ホールド・キャパシタ自身の特性よりもむしろ、周辺の配線や近接部品の影響の方が大きいのが実際です。

■出力バッファ
ダイナミック特性については、一定に保持されたホールド後の信号を取り扱えばよいので、要求仕様が緩和される可能性があります。 ただし、サンプル・ホールドの切り替わりに伴うステップ応答に追従できなければなりません。またドループを小さく保つために、高い入力インピーダンスと小さな入力電流が必要です。
これらの値や特性はA-D変換特性と密接に関係していますので、分解能とスピードといったトレード・オフの関係にある各種特性間の折り合いをどのようにつけるかで決定します。

特にポイントとなるホールド・キャパシタは、容量値を大きくすると、ペデスタル、ドループ、フィード・スルー、SNRが改善されますが、帯域幅、ホールド・セトリング時間、アクイジション時間、THD(Total Harmonic Distortion)が悪化します。
これらの回路ブロックを組み合わせたサンプル&ホールド回路は、A-Dコンバータ全体として必要な特性をほとんど全て満たす必要があります。
例えば8ビット用ですと、0.195%以下(8ビット1/2LSB以下)のリニアリティ・エラーや、量子化ノイズ(0.29LSBrms)以下のノイズ特性が必要ですし、100MS/s用ですと250MHz以上の帯域幅や5ns以下のセトリング時間が必要となります。

よく用いられる式でサンプル&ホールド回路と各ブロックの特性についていくつか確認してみましょう。

スイッチ部分の帯域幅は、スイッチング時間が十分短いとすると fBW=1/(2π・Rs・CH) で表されますので、例えば、Rs(入力バッファの出力抵抗とスイッチのON抵抗の和):40Ω、ホールド・キャパシタCH:4pFで、fBWが約1GHzになります。 入力バッファの帯域幅も同等だとすると、サンプリング帯域幅は約700MHzになります。
また、容量に充放電する際の単位時間の電圧変化は、 ⊿V/⊿t=I/CH のように電流値に比例して容量値に反比例します。 振幅1Vに対してOFFからONへのアクイジション時間を1nsにするためには、4pFのキャパシタに対して4mA以上のダイナミックな駆動電流が必要です。
同じ式を使って、10nsのホールド期間で1mV以下のドループにするためには、リーク電流が400nA以下であることが必要になります。
一般にホールド・キャパシタは、サンプリング・レートが100MS/s以下のときは数pFの容量値が、100MS/s以上だと1pF以下の容量値が選ばれているようです。