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交流電力の基礎知識と電力測定器の仕組み


横河M&C株式会社 MCC技術部 
通信測定器事業部第2開発PJTセンター 

河崎 誠
数見 昌弘
 1. 概要

電力測定器は、電気機器や電力設備の消費電力を測定する装置であり、家電製品、照明器具、産業用機器などの研究開発、生産ライン、受配電設備などの分野で、幅広く使用されています。
近年の地球環境問題やエネルギー資源の有効活用の観点から電気機器の省エネルギー化の要求が高まっています。そのため、機器の高効率化、小型化が進められる中、高周波駆動の電力変換部を持つ機器が増えており、より広い周波数帯域、より高精度の電力計測が求められています。
さらに高効率化のために、電力変換器は複雑な電力制御を行っており、その電力変換回路内の変換過程ごとに消費される電力を細かく測定する必要性が高まってきています。
一方、環境マネージメントシステム(ISO14001)の認定企業や省エネルギー法の規定により、電力量の管理も必要になってきています。

 2. 電力測定原理
  2. 1. 交流信号の基本原理

●有効電力は瞬時電圧と瞬時電流の積の平均。
交流の電力は、負荷が容量性(コンデンサ)の場合や誘導性(インダクタンス)の場合は電圧と電流の間に位相差が生じます。電圧の瞬時値u(t)および電流の瞬時値i(t)がそれぞれ正弦波形であり、 と表せる場合、交流の電力の瞬時値 p は、次のように表されます。

U:電圧実効値 I:電流実効値 φは電圧と電流の位相差
pは時間に無関係の「UIcosφ」と、電圧や電流の2倍の周波数の交流分「−UIcos(2ωt−φ)」の和になります。負荷で消費される単位時間あたりの電力Pは、pの平均値であるため、pの交流分「−UIcos(2ωt−φ)」はゼロとなり、電力Pは、P=UIcosφ[W]になります。上記をまとめると、単位時間あたりの電力は以下の式になります。
負荷の種類と電圧、電流の位相差の関係
図1:負荷の種類と電圧、電流の位相差の関係

●有効電力、無効電力、皮相電力
交流では、電圧と電流の積UIすべてが負荷で消費される電力ではありません。同じ電圧と電流でも、その位相差φによって消費される電力が異なります。図1に負荷が抵抗、インダクタンス、キャパシタンスの場合の電圧と電流の関係を示します。電圧実効値と電流実効値の積UIは、皮相電力S(apparent power単位:VA)といわれ、見かけの電力を表します。皮相電力は、機器の電気容量を表すのに用いられます。皮相電力のうち、前述の負荷で消費される電力を有効電力P(active powerまたはeffective power 単位:W)、消費に寄与しない電力を無効Q(reactive power 単位:var)といいます。
皮相電力、有効電力、無効電力の関係は以下の式で表されます。

ここで、cosφは、皮相電力に対して実際に負荷で消費された電力の割合を示したもので、
これを力率λ(power factor)といいます。
皮相電力、有効電力、無効電力の関係
図2:皮相電力、有効電力、無効電力の関係


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