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交流電力の基礎知識と電力測定器の仕組み

3. 電力測定器の仕組み

3. 2. 電圧入力回路の 発熱と電圧係数に注意しなければならない大電圧測定

一般的な抵抗分圧方式の電圧入力部を図7に示します。入力電圧は内部で扱いやすい低電圧に分圧するための初段回路と正規化するためのレンジ切り替え回路で構成されます。電力計の入力精度は初段アンプの性能で大きく左右されます。初段アンプおよび入力抵抗はそれ自身の誤差だけでなく、1000Vまでという大電圧が直接入力されるため耐圧特性、自己発熱による温度ドリフトに影響する温度係数、電圧係数に注意して部品を選定する必要があります。また電圧回路を測定回路に接続すると、電源側から見れば電圧入力抵抗が負荷に見えてしまいます。そのため抵抗値はできるだけ大きな抵抗であることが望ましいと言えます。抵抗が大きくなる一方で、入力回路の周波数特性は悪くなる傾向になります。これは入力の抵抗と実装面との浮遊容量のため、あたかも入力抵抗と浮遊容量による微分回路が構成され、抵抗が大きいほど周波数特性に影響を与えてしまい低くなります。この影響を軽減させるためには、リファレンス抵抗(図7中R2,R3)にコンデンサ(図7中C2,C3)を挿入し周波数特性を補正します。安定した性能を得るには、入力抵抗と実装面との距離を離したり、入力抵抗に大きい容量や安定した容量結合させるためのシールドをあえて近くに実装するなどして、浮遊容量という不確定な要因を少なくすることが必要です。
電圧入力回路
図7:電圧入力回路(簡略図:抵抗分圧方式)

3. 3. 電流入力回路 シャント抵抗、クランプセンサ、CTなどの電流センシング

電流入力回路は電流信号を扱いやすい信号に変換します。測定する電流値や目的により、シャント抵抗、CT、クランプオンセンサを使用します。以下にそれぞれの特徴を示します。

●シャント抵抗
 シャント抵抗に電流を通電したときの両端電圧を検出します。抵抗体での測定は他の方法と比べて技術的に確立されており、部品も豊富なため高精度な測定ができます。しかし、抵抗に電流を流すため発熱によるドリフトが問題になります。発熱を抑えるためには抵抗値を小さくする必要があります。一方、低抵抗になったときには抵抗体内部のインダクタンス成分が相対的に大きく見えてくるため周波数特性の平坦度の維持が困難になります。また出力側の電圧が微小になるため、抵抗体内部の熱起電力に注意する必要があります。熱起電力は抵抗内部の抵抗体と導電部の接合点が異種金属であるために発生する起電力で、高精度な測定をするためには抵抗体と導体の材質の選定が重要になります。

●クランプオンプローブ
クランプオンプローブは活線状態のケーブルを断線することなくクランプし、一次側の電流を絶縁して、正確に二次側に信号を伝達する目的があります。基本的には、一次側が1ターンの変流器と考えられるため、回路図と等価回路は図8となります。この図では巻線数2000ターン、負荷抵抗10Ωですから、たとえば一次側が200Aの時に二次側に1Vの電圧が得られます。しかしこの値は変流器が理想的に動作した場合で、実際にはE0=K×I1/n×R で示されます。ここでE0は二次側電圧、I1は一次電流、nは二次側巻線数、Rは負荷抵抗、Kは結合係数を表します。
結合係数は、鉄心材料(透磁率や磁束密度)、鉄心断面積、鉄心開閉部のギャップ、巻線数、線径、平均磁路長、負荷抵抗や構造などで決まります。一般的に鉄心は透磁率の高いパーマロイを使用する場合が多いようです。
一次電流と二次電圧、クランプする線径などから鉄心断面積、巻線数、平均磁路長、負荷抵抗を決めていきますが、巻線によるインダクタンスや抵抗は位相特性や周波数特性に影響を与えます。これらの影響を補正するために図8のようなC-R回路を追加する場合もあります。また、巻線数を調整したり、巻線抵抗を減らすために線径を太くする方法がありますが、クランプ部分が太くなり過ぎて実使用に耐えないものになってしまうため注意が必要です。
一方、隣接する銅線に流れる電流による磁界やクランプ内部の導線位置の影響を軽減するために、シールドを追加したり巻線の位置を極力均等にします。

クランプオンプローブの回路図例
クランプオンプローブの回路図例






クランプオンプローブの等価回路
クランプオンプローブの等価回路

L1:一次側の漏洩インダクタンス
L2:二次側の漏洩インダクタンス
R1:一次側の巻線抵抗
R2:二次側の巻線抵抗
LM:相互インダクタンス
RM:鉄損
図8:電流入力回路図と等価回路(クランプオンプローブ)

●CT
 原理はクランプオンプローブと同じです。クランプオンプローブと大きく異なるのは測定対象に貫通させるなど活線状態のまま接続できない点です。一方で巻き線部が固定されているため特性が極めて安定しています。DCを測定するための回路が搭載されたものもあり、より高精度な大電流測定に適します。