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交流電力の基礎知識と電力測定器の仕組み

3. 電力測定器の仕組み

3. 4. 演算部

有効電力は電圧と電流の瞬時値の積を平均化することで求められます。
旧来のアナログタイプの電力測定器の場合は、電圧、電流をアナログ掛け算器で掛け算し、LPFで平均化して電力測定を実現していました。現在ではディジタルサンプリング、ディジタル平均方式の電力計が主流となっています。ディジタル方式のメリットは以下のとおりです。

 ・アナログ素子が少ないため高精度化が容易で製品ごとの個体差が少ない。
 ・測定、演算項目間の同時性がある。
 ・微小入力時での精度(直線性)が良く力率誤差が小さい。
 ・サンプルデータをディジタル的に処理できるので、波形表示、解析などが可能になる。

ディジタルサンプリング方式の電力計には平均化の手法上、
FIR 型 (Finite Impulse Response : 有限長インパルス応答)ディジタルフィルタ方式と
IIR (Infinite Impulse Response : 無限長インパルス応答)型ディジタルフィルタ方式があります。

●高速な応答を実現しやすいFIR型ディジタルフィルタ方式 
FIR 型ディジタルフィルタ方式ではサンプル区間中の全サンプルデータの総和を平均して電力値を算出します。正確に測定するためにはサンプル区間を入力周期の1周期または数周期と同じにする必要があります。そのため入力信号をコンパレータ回路で信号のゼロレベル(ゼロクロスポイント)を検出し入力周期に同期した有効サンプル区間を検出します。この有効サンプル区間にあるサンプルデータの総和をサンプル数Nで割ることで電力値を得ます。
式
この方式では原理的に1周期の結果を平均することで有効電力が算出できるため高速応答を実現できます。

●安定した測定値を得やすいIIR型ディジタルフィルタ方式
IIR 型デジタルフィルタ方式では算出した瞬時電力の結果をIIR 型デジタルフィルタにて平滑することで有効電力を求めています。入力の周期を検出する必要がなく、原理的には測定休止期間がありません。そのためより安定した測定値が得られるという特長があります。
式
式

3. 5. 高調波測定機能 電力測定と電力品位の評価を実現するPLL回路とFFT演算

測定原理はFFTアナライザと同等です。FFTアナライザが周波数基準の解析を行うのに対して、電力計の高調波解析機能は基本波の倍数成分にある高調波次数の解析を行います。このために基本波周波数に同期したサンプルを実現する必要があります。この同期したサンプルを実現するのがPLL回路です。図9にPLL回路の概要を示します。
PLL回路による入力信号周期に周期下サンプルブロック生成
図9:PLL回路による入力信号周期に周期下サンプルブロック生成


位相コンパレータは2つの入力されたクロックの位相を比較し位相差信号をパルス出力します。電圧を印加することで発振周波数を変化させることが出来る電圧制御発信器(VCO)に位相差信号をループフィルタを通して直流化した信号を印加します。VCOの出力は位相比較器に入力されます。このときVCOの出力周波数を1/Nに分周して位相比較器に入力することで、VCOの出力は入力周波数のN倍の周波数になります。
これにより入力信号に同期したサンプルが可能になり、入力信号の基本波成分およびその整数倍成分が正確に測定することができる。以下に基本波成分の演算式を示します。
式
この演算式の特徴は無効電力Qを直接求めることが可能なことです。ひずみ波の皮相電力や無効電力は正確には定義されていませんが、各周波数成分においては有効電力、無効電力、皮相電力の関係は2.1項に示す基本的な定義を満たします。