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待機時電力の測定と高調波電流の規制

解説

5.インバータ機器の電力測定や効率測定

 5.1.EV(Electric Vehicle:電気自動車)やモータ機器の制御
 モータを回すとき、50Hzや60Hzの交流電源で直接駆動すると、回転スピードが一定で、制御の方法としてはON/OFFしかありません。 消費電力を抑えるなどの理由のため、よりきめ細かく制御するには、回転スピードを可変にする必要があります。
 回転スピードを変化させる場合、50/60Hzの交流電源から一旦直流に変換し、これをPWM(pulse width modulation)波形でスイッチングして 交流に変換し、このパルス波形でモータを駆動させるのが一般的です。交流から直流に変換する機器のことをコンバータ、直流から交流に 変換する機器のことをインバータと呼びます。なお、コンバータとインバータが一体になったものを広義のインバータと呼ぶこともあります。
 EVの場合は、電源がバッテリーで直流となるのでコンバータ部分は不要になり、インバータのみでモータを駆動しています。
 PWM波形とは、図14のように、出力したい周波数の正弦波と、キャリア信号と呼ばれる高周波の三角波をコンパレータに入力したとき のコンパレータの出力として得られます。元の正弦波の振幅がパルスの幅に変換されているのが分かると思います。このパルス信号で スイッチング素子をON/OFFすることで、電源から作られたDC電圧をパルス化できます。
 図15は、三相インバータと三相モータの接続図です。インバータ内で120度ずつ位相がずれた正弦波を生成し、その正弦波を元に PWM信号を作成し、この信号で出力のスイッチング素子をON/OFFすることにより、図16 ①②③のような3相の相電圧を出力します。 線間電圧は、図16 ④⑤⑥のような波形になります。モータの巻き線は、抵抗とインダクタの直列回路なのでLPF(Low Pass Filter)と 等価となり、流れる電流は図16 ⑦⑧⑨のような正弦波に近い波形になります。このようにすると、出力したい周波数、 つまりモータの回転スピードがインバータで生成する正弦波の周波数で可変できます。

PWM波形    インバータとモータの接続図
三相インバータの出力波形   

 5.2.インバータ測定のポイント
 モータで消費される電力を測定する場合、平均化区間を決める周期の検出には、キャリア周波数の周期でゼロレベルになる電圧波形 (図16 ④⑤⑥)より、正弦波に近い電流波形(図16 ⑦⑧⑨)を使用した方が安定して得られる傾向があります。 さらに周波数フィルタを通して重畳している高周波分を除去すると、より正弦波に近づき、周期がさらに安定します。
 また、インバータの出力電圧は、接地電位を中心にプラス、マイナスに振れるのではなく、ある電圧レベルを中心に接地電位からは すべてプラス側で振れています(図16 ①②③)。つまり、かなり高いコモンモード電圧がかかった状態での測定となります。 また、インバータから出力される電圧波形は、キャリア周波数でスイッチングされるパルス状の波形のため、高周波成分が多く含まれます。 図17のように電力計の入力端子にコモンモードの電圧Ucomがかかり、電力計内部でHigh側とLow側のインピーダンスに差があると、    の電圧がノーマルモード電圧に変換され、本来測定したいUsignalに加算されて測定されます。そのため、i1,i2を流れにくくするように Z1,Z2が大きく(つまり入力部と接地と間の容量結合が小さく)、さらにZ1とZ2の差、R1とR2の差が小さく設計され、 CMRR(Common Mode Rejection Ratio:同相信号除去比)が高周波まで大きな電力計で測定しないと、測定値の誤差が大きくなってしまいます。
 インバータの効率(=出力電力/入力電力)を測定する場合、インバータの入力電力と出力電力を同時に測定します(図18)。 このとき、入力側の信号の周期と出力側の信号の周期は一般に異なっています。電力が変動している場合、瞬時電力を平均化する区間が 入力側と出力側で異なると、効率が正確に求まらず、効率の測定値が100%を超えてしまうこともあります。電力が変動している場合は、 平均化する区間を入力側と出力側で一致させる必要があります。

コモンモード電圧の影響   インバータの効率測定

 5.3.インバータに関連する測定
 モータのメカニカルな出力は、トルクと回転スピードです。電力計にはトルクセンサの出力を測定する機能が搭載されているものもあります。 図18のように、モータに接続されたトルクセンサからのトルクとスピードの信号を電力計に入力することにより、 トルクとスピードの掛け算から求まるメカニカル出力と、モータへの入力電力からモータの効率を求めることができます。 また、インバータの入力電力とモータのメカニカル出力から、システム全体の効率を求めることも可能です。
 また、EVの場合、減速時にはモータを発電機として使用し、その電力でバッテリーに充電を行います。バッテリーの放電と充電が 頻繁に切り替わる場合でも、電流の向きを判定して、放電時の電力と充電時の電力を別々に積算することが可能な電力計を使えば、 バッテリーの特性の評価に役立ちます。