計測豆知識・技術レポート
測定器の正しい使い方入門 時間測定器の使い方
解説
タイム・インターバル・アナライザ
■ 測定の休止時間を短くしたカウント・アナライザ
もっとも新しい時間計測器としてタイム・インターバル・アナライザがあります。
測定の原理自体はユニバーサル・カウンタと変わりありませんが、測定の休止時間を極めて短くしたことが
特徴で、中には休止時間がゼロで連続測定できる機種もあります。また、多くのデータを高速に、まとめて
サンプリングできることも特徴の一つです。
メモリにサンプリングされたデータから、測定値のばらつきを解析してジッタの評価をしたり、測定値の時間
変動をモニタできるようになりました。
代表的なアプリケーションはディスク・ドライブなどの回転ジッタの評価やPLL(Phase Locked Loop)回路の特性評価などがあげられます。ここでは、もっとも有効な使用例としてPLL回路の評価方法と測定データを
紹介します。
■ PLLの応答時間測定
信号を位相同期させるPLL回路は、コードレス電話など身近なあらゆる電子回路の中で見られるようになってきました。
PLL回路の性能を示す特性の一つに、周波数の引き込み時間があります。周波数を切り替えたとき、その
変化する過程は複雑なものですが、タイム・インターバル・アナライザを使えば一目でその動作がわかります。
コードレス電話に使われる発振器を例に測定データを紹介しましょう。コードレス電話は子機の電池を長持ち
させるために通信をしていないときには、電源を切ったり入れたりして省電力化を図っています。
発振器が止まっている状態から発振を開始するまでの周波数の変化をタイムインターバルアナライザ
TA1100*(横河電機)を用いて測定したものを紹介します。
測定の設定条件を以下に示します。
- 周波数測定(Cチャネル)
サンプル数:1000サンプル
ゲート時間:300μs
表示 :XY表示
表示形式をXY表示にすることで、横軸にサンプルした時間、縦軸に測定周波数を表示します。時間とともに
発振周波数が変化しているのがよくわかります。
発振器は電源が入った直後に約350MHzになりますがまだPLLは動作していません。10ms程度はその
周波数を保持しています。10ms過ぎると徐々に周波数が上がりはじめ1度360MHzを越えてしまいますが、
約25ms後に安定した発振になります。

■ 最後に
カウンタは無線機器の評価から、自動車などメカトロニクスの評価まで幅広く利用されています。
正しい使い方をすれば、便利でローコストな測定器ですので、今後も各所にて利用されることでしょう。
* 現在は販売を終了しております。(後継機種はタイムインターバルアナライザ
TA720)
参考文献
- 吉村和幸ほか;周波数と時間、電子情報通信学会
- 電気学会技術報告(2部)第410号、超高速パルスの測定技術の現状と動向PP63~68、電気学会
- 山口雄二ほか;横河技報 Vol.36 1992 No.2 PP17~20、横河電機