計測豆知識・技術レポート
測定器の正しい使い方入門 時間測定器の使い方
解説
ユニバーサル・カウンタの内部構造と測定原理
エレクトロニック・カウンタは信号をつなげば簡単に結果が得られる測定器ですが、基本的なことを正しく理解
していないと、誤った測定をしたまま見過ごしてしまうことがあります。
カウンタの機能をすべて含んだユニバーサル・カウンタを例にとって、測定原理をはじめ、仕様の見方や使用上の注意事項を紹介します。
■ 内部構造
ユニバーサル・カウンタはタイム・インターバルを測定するために入力が2チャンネルになっているものが
ほとんどです。図14-1に代表的なユニバーサル・カウンタのブロック図を示します。

入力信号としてはさまざまな波形が入力されるため、入力回路は電圧直流分を含んだ信号を測定するためのAC-DCカップリングや、過大入力に対するアッテネータ、ノイズ除去のためのローパス・フィルタなどを備えているものがよく見られます。
入力信号の測定電圧レベルを決めるコンパレータはノイズ対策のために、その入力にヒステリシスがかけられています。カウンタのなかにはこのヒステリシス幅が可変できるものや、ピーク電圧を測定して自動的にトリガ電圧レベルを決めるオート・トリガ機能を持ったものもあります。
パルスに波形整形された信号は、計数制御回路で測定ファンクションに応じた信号に分けられ、繰り返し数や時間がカウントされます。計数制御回路とカウンタはそのほとんどがロジック回路で構成されているので、遅延時間を少なく抑え、全体の規模を小さくする目的から、カスタムIC化されています。
時間をカウントする基準クロックは内部水晶発振器かあるいは、外部基準入力(EXT REF IN)の信号から
生成されます。
CPUはこれらのデータから周波数やタイム・インターバルなどを求め、測定結果の表示や測定全体の制御
など行います。
■ 測定原理
ここで、周波数測定の原理を紹介します。
初期の周波数カウンタでは、1秒間に到達した信号の繰り返し数(周期数)をカウントしてそれを周波数として
表示しました。これを直接計数方式と呼びます。
しかしこの方法では入力周波数が遅くなると表示できる桁数が減ってしまいます。そこで考えだされたのが、
周期(時間)をいつも一定の内部クロックで測定して周波数はその逆数で表示する方法です。
この方式では、測定の分解能(有効表示桁)は内部クロックの周期のみで決まり、入力周波数の影響を受け
ません。これをレシプロカル方式と呼びますが、現在ではこの方式が一般的に使われています。
直接計数方式とレシプロカル方式の入力信号による分解能の違いを図14-2に示します。

■ 高分解能化のテクニック
内部のクロック周波数を高くすれば測定の分解能は向上しますが、それにも限度があります。
そこで、クロック1周期以下の短い時間(端数時間)を補間する方法がいろいろ考案されています(図14-3)。
以下に代表的な方法を簡単に紹介します。

- タイム・エキスパンション方式(図14-4)
内部クロックで測定できない短い時間のパルス幅Δtを拡大して、再度同じクロックで測定します。
拡大率が大きいほど分解能が高くなるわけです。しかし一方では測定休止時間が長くなってしまう
欠点があります。

- タイム・バーニア方式(図14-5)
基準クロックとは周波数(周期)の少し違う発振器を入力信号に同期して動作させます。
ノギスの原理のように発振器と基準クロックとの関係を計算することで、クロック周期以下の
分解能を得ます。この方式も分解能を高くすると休止時間が長くなってしまいます。

- 多相クロック方式(図14-6)
位相が少しずつずれた複数のクロックを用いて高分解能測定を行います。
回路規模が大きくなってしまうので高分解能化には限界があります。

- 時間-電圧変換方式
クロック以下の短い時間Δtを電圧に変換してその電圧値から時間を測定します。
電圧測定は高分解能A-Dコンバータが利用できるので、この中でもとくに高速で高分解能が
得られる方式です。