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横河ソリューションズ

生産スケジューラ

ASTPLANNER お役立ち情報

担当者コラム

ASTPLANNERの導入を通じて、営業エンジニア達が日頃感じていることをまとめました。


 ◆第一話◆ 最適生産は追い続けるもの

 ◆第二話◆ スケジューリングと需要管理、プランニング

◆第一話◆ 最適生産は追い続けるもの

製造業が抱える”時間の悩み”は深刻です。 とりとめのない雑文ですが、皆様のお役に立てば幸いです。
「スケジューラが役に立ちそうなことはわかったけれど、それで最適生産ができるのですか?」  お客様を訪問した際によく聞く言葉です。わたしたちのほうも、 「御社の場合は、このルールを適用するのが最適です」 と思わず口にしています。

 しかし、実はこの「最適」ほど、手に負えない、眉唾な言葉はありません。

 机上の数学的モデルから最適解を求めることはできます。けれどもそれを実世界に適用した時点で「最適」は近似でしかなくなります。あらゆる関係要素を入力として、現実にぴったり合致する答えを求めることは不可能ですから、真の「最適」はいわば幻想のようなものです。それがわたしたちの言う「最適」の実態です。

 穿った言い方をすれば、本格焼酎、本格中華、本格推理などの「本格」と同様、生産現場における「最適」も、わたしたちのような売り手の惹句のひとつと思ったほうがよいかもしれません。最適生産、最適システム、最適スケジューリングなど、「最適」を標榜する商品は世の中に氾濫していますが、往々にしてそれらを利用しても、求める最適から程遠いことがしばしばあります。

 それでも最適をイメージすること、さらにはその特性を理解することはとても重要です。というのも、現場がどうあるべきかを日頃から考え、常にそれを思い描くことこそが、システムを真の最適に近づける最短の道だからです。以降、スケジューリングに焦点をあて、この最適について、いくつかの角度から考えていきます。


(1) 最適と範囲
 生産スケジュールを立案する際に、どの範囲を行うのか、そしてその範囲でどれだけの選択肢が取れるのかは、大変重要なファクタです。一部のラインや特定の製品ファミリだけを対象にする場合と、工場全体、あるいは複数の工場をまとめて対象とする場合とでは、おのずと有り様が異なります。昨今、全体最適という言葉が声高にさけばれています。これは一部だけを最適化したところで、企業の利益に直接的に結びつかないことを示唆しています。

 たとえばTOCを引用するまでもなく、一連の生産工程の能力は、その中で一番能力の低い工程(ボトルネック工程)に律速されることは自明ですから、このボトルネック工程がよどみなく稼動するように計画することは全体として当然配慮すべき事項です。しかしながら、部分的な最適、言葉を変えると、現場の細やかな工程改善が、役に立たないと言っているのでは断じてありません。全体の最適化活動は、個々の現場の改善活動と相補的であってこそ、大きな成果が得られるものです。そういう意味では、ケストラーのホロンという概念は、今もなお生産の現場では生きています。

 全体をより良くするには部分のポテンシャルの高さが必要です。そして部分の変化が伝播して全体を変革します。

 一方、全体は部分の総和以上に機能してはじめて存在意義を発揮できます。全体がなすべきは、外部の環境変化を素早く認識して、的確な舵取りを行うことです。そしてその意思決定を遂行する基盤は部分にあり、常に自らの自由度と上位従属性とを、うまくバランスさせて対応していかなければなりません。

 このように考えを進めると、計画の良し悪しは、その範囲と計画者の権限レベルで異なることがわかります。一見すると、計画者に委譲される権限の範囲、すなわち稼働時間や人員配置の変更、工場の設備レイアウトの変更、部品調達先会社との交渉等、その範囲が大きければ大きいほど、より自由に生産計画を操ることができるので、効果的であると思えます。事実、そういう側面もあるのですが、あまりにリーンな状態は、変化への対応を難しくしがちです。また、計画者に万能を求めるのも無理があります。

 したがって、むしろ所掌範囲を自然に、かつ明確に定義して、部分の自由度を踏まえつつ、それぞれの取りまく情報に基づき相互作用し得る系を構築したほうが健全です。つまり、いろいろな範囲、立場での部分の最適を照らして、全体の方向性を動的に導出していくのがベストと言えるでしょう。

(2) 最適の多様性
 現場が求める最適スケジューリングはさまざまです。前節で述べたとおり、計画担当者の所掌範囲や権限に負う多様性もありますが、現場の状況や生産スタイルによっても大きく異なることを忘れてはなりません。一般には「納期を遵守し、リードタイムが安定、製造途中の滞留時間が少ない計画」がよいとされますが、これが常に正しいかと言うと、そうではありません。

 たとえば著しく高価な設備を利用する場合は、その装置の動作時間が最小で生産量が最大なことが「最適」になりますし、段取り替えが作業者にとって極端に危険な場合は、段取り替え時間が最小なことが「最適」になり得ます。いずれも状況によっては納期を犠牲にしても優先したい場合さえあるのです。もちろん経営状況によっても変化します。生産量が増大、右肩上がりの場合と、かがみこみが必要な場合とでは、おのずと採択すべきスケジューリングが異なってきます。

 これらからもわかるとおり、千差万別の最適要素を、適切なレベルで按分し組み合わせていくこと、そして状況に応じて変化を取り込むことが重要です。

 トヨタ生産方式では、ムダは七種類あると言われています。作り過ぎのムダ、在庫のムダ、動作のムダ、加工のムダ、手持ちのムダ、運搬のムダ、不良手直しのムダです。スケジューリング問題は基本的にムダ取りです。目の前にあるムダのうち、取って役に立つムダを選別し最小化するのです。ただし、一見ムダに見えても有事に有効なものもあるので、見極める目が大切です。

(3) 最適の移動性
 当たり前のことですが、最適は移動します。この厳然たる事実に対する認識の深さが、システムの構築・運用においてとても重要になってきます。最適が移動するのは、稼動時間帯を変更したり、人員配置を変更したりするときばかりではありません。経営状況の変化や、ボトルネック工程の改善によっても、恐ろしいぐらいに移動してしまいます。
 たとえば、あるとき設備を追加して、ボトルネック工程の改善を行ったとしましょう。この行為によって、ボトルネック工程中心のスケジューリングでは、直前工程との間に設けたバッファ・サイズの変更が必要になります。あるいは、ボトルネックでなくなってしまえば、ボトルネック工程中心のスケジューリング自体を、移動した先の工程に移す必要があるかもしれません。品目の売行きが変化した場合も利用資源の選択ルールの調整が必要になりますし、法規制や契約電力事情等に変化があっても同じようにルールの変更を余儀なくされます。セル生産方式ならば、作業者の熟練度によって、能力値のチューニングを絶えず行う必要も出てくるでしょう。

 最適の移動は、作業者の欠勤や、設備の故障など、不測な出来事に起因する場合もあります。毎週計画を立案しても、予定外の事象が発生したら、その都度善処していかなければなりません。たったひとつの設備の故障が、いわゆるバタフライ効果を起こして、計画全体を絵に描いた餅にしてしまうことも、往々にしてあることです。

 製造システムは生きています。意図した変更にも、不測の出来事にも、柔軟に対応可能な適応力が必要です。最適が動くことを軽視して硬直したシステムを構築してしまったり、柔軟性があっても日頃のチューニングを疎かにしていては、システムの価値が激減します。

(4) 最適の指針
 製造業も他業種同様、キャッシュを生み出す活動にほかなりません。製造業では、投入キャッシュ(部品・原料を買う)→製造→回収キャッシュ(製品を売る)という変換手続きを踏みますが、本質的にはこの投入キャッシュより、回収キャッシュが大きければ大きいほどよいわけです。(回収-投資)の額面については、従来から改善活動が活発に行われてきました。いわゆる「生産コストの削減」です。今もこのコストが生産改善の主役であることに変わりはありませんが、ここに「時間」というパラメータが伏在していることを忘れてはなりません。

 投入キャッシュがモノに変わっている状態が長ければ長いほど価値は減少します。モノが溢れた今の世では、次々に新しいモノが投入され、モノの寿命はどんどん短くなっています。したがって、時間をもキャッシュに変えているという認識ができていないと、以前にまして手痛い目にあうことになります。経営層の実績評価が、コストからキャッシュフローに視点を移してきているのは、こういった背景からでしょう。

 このように、何が最適か? を考えるときには、キャッシュの流れを時間的推移も踏まえて検討する必要があります。いかなる立場、責任範囲であっても、計画者は根底に、キャッシュと時間の関係を見据えていなければなりません。計画者が与えられる目的関数は、たいていは変換されて、納期厳守であったり、在庫の削減であったりしますが、究極には最大限のキャッシュを生む活動であることを、いつも心に留めておくべきでしょう。


 ここまで「最適」についていろいろと述べてきました。ともすれば、うっかり口にする「最適」ですが、奥深さをわかっていただけたでしょうか?

 あえて言えば、「最適」は叡智であり、求める人の心に宿るものです。そして絶えず追い続ける目標です。

 「最適」は、単に高価なシステムを導入すれば手に入れられるものではありません。むしろシステム導入はスタートでしかありません。Plan→Do→Seeのサイクルを素早く回して、日々少しずつ改善し、変化に対応していくことが、何よりも大切なのです。
H.S (2006/09/08)

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◆第二話◆ スケジューリングと需要管理、プランニング

ASTPLANNERはスケジューラ、つまりスケジューリングという作業を行なうための道具です。 では、スケジューリングは、どんな作業の循環の中にあるでしょう?
 生産管理担当者は、需要の予測、製造数量の決定、資源割当ての決定、製造スケジュールの決定、製造・販売・出荷の実績データ収集、そして需要予測に戻って、再び同じことを繰り返します。
この循環の中で、製造スケジュールの決定がスケジューリングで、その前の段階に対応するのが、需要管理(需要予測から始まって、生産数量決定までの作業)とプランニング(生産に資源を割り当てる作業)です。

スケジューラは、需要管理やプランニングのシステムより先に導入されることが多く、スケジューラの次に、これらふたつのうちどちらかを導入されるのが、無理のない選択のようです。

以下にこれらふたつの概要を紹介しましょう。

(1) 需要管理
 需要管理の目的は、生産数量の最適化で、作業の内容は、以下の集合です。

 ・予測の準備
   過去の実績データを蓄積する。
   対象データを、何で説明すると予測しやすいかを判定する。
    商品別か、販売地区別か、その組合せか、・・

 ・予測
   実績データから、今後繰り返さない現象を除く。
   統計的手法を使って、過去のデータから将来を予測する。
   予測結果に、過去の繰り返しではない、近い将来起きると予想される現象を加える。

 需要予測は当らない、という人がいます。未来を予測するのですから、完全には当たらないのは事実です。しかし、ここに挙げた作業を確実に実行すれば、予測精度は上がり、十分使える結果が得られます。それまでには、スケジューラと違った努力が必要です。

(2) プランニング
 多くの場合、使える工場、製造ライン、仕入先、出荷基地は、複数あります。
では、どこに(何に)、どの工程を、いくら(数量)割り振れば、全体を見て最適か、ということを知りたくなります。これを求めるのが、プランニングです。

 プランニングは、線形の連立制約式のもとで(数学が嫌いな人は、このことばを無視してください)、利益、手間などを数式化したものを、最大化、または最小化します。
これを解くには、線形計画法(LinearProgrammingの頭文字をとって、LPと略します)という計算法を使います。
プランニングには、このLPを使うことが求められます。LPのコンピュータ・システムは専門家に任せれば作ってくれますが、これを使って最適解を求めるには、これもまた、スケジューラとも需要管理とも違った努力が必要です。

 と、ここまで話と進めると、スケジューラであるASTPLANNERが「プランナー」という言葉を冠しているのが、少し奇妙にみえるかもしれません。確かに製品はスケジューラです。しかし担当メンバのなかには、需要管理やプランニングの専門家もいます。かくいうわたしもそのひとりです。英語ではプランニング、スケジューリングと違うことばを使って区別していますが、利益ある生産を目指すという意味では陸続きであり、相補的です。

 横河電機グループでは、それぞれの分野を横断的にとらえて、お客様のお手伝いをします。
Agile、Strategic、TechnologyのASTとプランナー(=計画者)の製品名には、そんな願いもこめられています。 どうぞ、需要管理やプランニングについても、わたしたちにご相談ください。
S.H (2007/09/20)
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